未来の発毛〜もう効果がないとは言わせない

未来の発毛〜もう効果がないとは言わせない

タクロリムス

タクロリムスには発毛を促す効果がある

タクロリムスは1999年からアトピー性皮膚炎治療薬として利用されるようになった薬で、現在では世界中のあらゆる地域で使用されています。そんなタクロリムスは、なんと脱毛を防ぎ、発毛を促す作用を持つことが分かってきました。
この作用は、難治性DLEに対して有効と考えられています。DLEとは円板状エリテマトーデスの略で、症状が皮膚に限られており、臓器を含めて全身症状が見られない状態のことを言います。これは慢性的な症状である場合が多く、人の外見に影響を与えるものであるため、気にしている方が多いと思われます。
今回、免疫抑制薬の一つであるタクロリムスを成分として含むローション剤が研究・開発されました。これをDLEが原因で脱毛があった患者3人に使う実験の結果、その部分から毛が生えてくるようになったことが報告されました。高い効果の期待できる発毛薬であり、頭皮の悩みを持つ方にとっての新たな可能性として期待されています。

患部の症状改善と高い発毛促進効果の合わせ技

DLEは自己免疫疾患のひとつです。頭皮に症状があらわれた場合にはステロイドの外用によって症状を抑え改善しようと試みるのですが、治っても痕が残り、更には毛が生えなくなってしまうことがあります。
今回の研究では、ほかの治療薬では十分な症状改善が見られなかった患者3人にタクロリムスのローションを使用することで、3人全員に発毛効果があり、3ヶ月後にはDLEの患部の症状の改善と毛髪の再成長の両方が見られ、その後も改善が続きました。また、マウスを用いた実験からも同様の発毛作用が確認されています。
この発毛のメカニズムは今の段階では解明されていませんが、いわゆるCN阻害作用によるものと考えられています。そしてこれは今までにないアプローチ方法による育毛剤ということになり、従来型の育毛剤では満足の行く結果が得られなかった方でも、十分な発毛作用を享受できる可能性があります。

注意しなければならない副作用など

ここまで読んでいただければ、タクロリムスは発毛に関してとても期待できる物質ということは分かっていただけたかと思います。しかし、薬には副作用がつきものです。ここで副作用やその他の注意点をまとめておこうと思います。
副作用について最も多くあるのは、塗り始めの頃にあらわれる刺激症状です。かゆみだけでなく、灼熱感、ほてり感、またはヒリヒリした感じなどの刺激を感じるケースが非常に多いです。ほとんどの場合は一時的な症状に過ぎず、放っておけばそのうち治まる程度のものです。刺激が我慢できないほど辛いときには医師に相談しなければいけませんが、それほどひどくなることはまずないでしょう。
もう一つ気をつけるべきなのは、皮膚感染症です。免疫抑制剤を皮膚に塗るわけですから、必然的に皮膚の免疫力を低下させます。そうなると細菌・ウイルスからの攻撃に耐え切れなくなることがあります。タクロリムス使用中は、衛生状態に気をつけるようにしましょう。

新たな育毛剤の開発につながる希望の物質

これまで見てきたように、タクロリムスは発毛に関してとても強烈な作用を持っています。既述のとおりメカニズムが解明されていないため、すぐに今後の脱毛防止または発毛に使える製品が表れるとは考えにくいです。しかしながら、時間をかけて研究が進められることで、新たな育毛剤が誕生する可能性は決して低くないと思います。それと同時に、タクロリムスよりも強力かつ低副作用な発毛促進物質が開発または発見される可能性もあると思います。そうなれば、老若男女の頭皮の悩みは現在に比べて少なくなっていくものと予測されます。
また、タクロリムスは難治性DLEの治療に高い効果を発揮することも既に書きました。ほかの治療法・薬の効きがイマイチだった患者でも、タクロリムスだけは効いたという報告があるならば、これは皮膚病の治療の選択肢として、積極的に活用されていくでしょう。人の見た目が大幅に改善出来うる薬です。今後も研究が進んでいくのは間違いないでしょう。